金沢(尾張屋)春吉今戸焼資料
Imado-ware and Imado Dolls made by Kanazawa Harukichi
概要 / description
隅田川流域では、江戸時代から明治期にかけて窯業が盛んで、瓦などを焼く窯場が数か所あった。中でも、浅草郊外の今戸は最も有名で、ほうろくや火鉢など今戸で焼かれた日用雑器は、今戸焼と呼ばれて江戸の生活に密着した。今戸で作られた土人形は、今戸人形と呼ばれ、浅草土産として、また神社へ奉納する狐の人形などの需要があり、盛んに作られた。型抜きした人形を焼き、その上に胡粉や絵具で彩色をする。人形の背面は色を塗らず白く塗り残しているのも特徴。
金沢春吉(かなざわはるきち 1868~1944)は、幕末の今戸焼の名工作根弁次郎(さくねべんじろう)の孫で、尾張屋を屋号とする今戸人形の職人金沢家の養子となった。江戸時代からの流れを汲む最後の人形師の一人で、明治以降廃れていた今戸人形を再興した。本資料群は彼の遺族から寄贈されたもので、春吉の作品及び製作の様子を撮した写真類などからなる。他に、金沢家の親族だった六世尾形乾山(浦野乾也)の作品もある。